海外事業
フィリピン排水処理事業
当社のFA事業で培った自動制御装置等のノウハウを活かした事業をフィリピンで展開しています。
主にフィリピン・ボホール州をはじめとしたフィリピン地方都市を中心に新型回分式活性汚泥法を用いた排水処理事業に当社の自動制御装置が採用されています。2016年に制定されたフィリピンの新排水規制は世界基準から見ても大変厳しい基準となっていますが、その中で当社の排水技術は唯一対応が可能な技術です。(2020年12月現在)
敷地面積が小さくて、またメンテナンスの費用が抑えられる単層の下水処理方式に、当社の自動制御技術を取り入れ、排水質に応じて、遠隔制御で高度な下水処理を可能としています。2017年には国際特許を取得し、2018年にはJICA中小企業普及実証事業に採択されました。
また日本の技術である浄化槽の輸入・販売・施工・管理を一体化したサービスを提供しています。2013年の調査開始以来、多くの浄化槽の輸出販売を受注しています。
フィリピン現地法人
Phil-Japan Worldwide Management Services, Inc.
事業目的
ボホール州では下水道はまだ無く、ほかの地方都市と同様に排水は単層のセプティックタンクまたは汚泥層にため、上澄みを川に流し、溜まった汚泥は民間業者に依頼しバキュームカーで引き抜きますが、汚泥処理場が無いため海や山間に捨てているのが実情です。フィリピンの人々が健やかなライフサイクルをおくるために、公害を生まない環境を作る事、この事が私たちの事業目的です。そのためには排水処理だけでなく、汚泥処理の現状を改善できるよう終末処理システムの構築が急がれます。終末処理システムには汚泥処理場の建設やシステムだけでなく、それを運用するための管理者やエンジニアを育成する必要もあります。またフィリピンの人々の環境意識を高める啓蒙活動、法整備への働きかけも必要です。
道はまだまだ険しいですが、必ず達成できると信じ邁進していきます。
これまでの実績
2013年1月及び2月において専門家派遣、日本研修受入を行うと同時に、ボホール州をはじめとした地方政府や水道公社、各省庁、大学との関係強化を図ってきました。その後、フィリピンにおける排水処理事業として日本の浄化槽の輸入販売、施工、管理運営等の事業を開始し、これまで多くの浄化槽を販売しています。
他方でフィリピンには汚泥処理場が存在しておらず、海洋や山中へ投棄されており、深刻な環境問題を引き起こしています。排水処理事業を行う以上、汚泥処理への対応は避けて通れないことから、水処理の専門家である筑波大名誉教授 松村正利先生にご参画いただき、先生のご指導の下、新SBR(微生物処理によるリン・窒素の同時処理)技術開発を行ないました。革新的な下水処理システム技術として日本で国際特許を取得しています。(平成 29 年 8月10 日:特許第 6188264 )2018年にはこの下水処理システムの画期性が評価され「JICA 中小企業海外展開支援事業 普及実証事業」に採択され現在プロジェクト実施中です。
フィリピン排水処理事業の歩み
2010年-2012年 |
計8回に及び現地視察を経て、2012年9月現地法人PJWを設立 |
2014年10月 |
Butuan空港において到着ロビーのトイレ排水処理のため、第1基目の浄化槽を設置。翌年にかけ、Butuan市公共施設に3基の浄化槽を設置 |
2016年6月 |
フィリピン国において新排水基準(規制)が施行 |
2016年7月 |
松村先生指導下、シュミレーターを製作し、Maynilad社のProject7に設置、調査実験を開始(2016年1月)し、フィリピン初の微生物処理による脱窒・脱燐に成功 |
2017年2月 |
BOHOL州 旧庁舎排水処理に20tons/day×2基の浄化槽を設置 |
2018年8月 |
窒素およびリンの生物学的同時除去のための活性汚泥法における国際特許を取得 ※2022.8. 1現在、日本/フィリピン/インドネシアで取得、ベトナム/中国で特許出願中 |
2018年8月 |
JICA中小企業海外展開支援事業~普及・実証事業~に、当社取得の特許技術を活用した提案事業が採択される |
2020年2月 |
フィリピン、ボホール州新庁舎において、新SBRを設置。実証プラントとしてNew SBRによる世界初の微生物学的窒素・リンの同時除去に成功 |
2022年3月 |
コロナ禍により延期されていた普及・実証事業の正式契約をJICAと締結 |
2023年1月現在 |
フィリピン国ボホール州において「腐敗層汚泥(Septage)固液分離液高度処理システムの普及・実証事業」が進行中 |